コンクリートで作られた建物にとって、構造の要であるコンクリートの劣化は決して見過ごすことのできない重要な問題です。
放置しておくといずれ日々の暮らしに被害が及ぶ可能性があります。
安心して毎日の生活を送るためにも、老朽化したコンクリートには補修工事をしてあげましょう!
この記事では、築年数が経ってボロボロになってしまった建物のコンクリートの柱に実施した、山陽工業のプレミアム補修工事についてご紹介します。
築40年〜50年以上所有しているビルをもっと長持ちさせたいオーナー様
官公庁施設や取り壊すことができない歴史的建造物を管理されている建設会社様・コンサルティング会社様
思い入れのある建物をそのまま維持したい方
このような方々にとっては、特に見逃せない情報が詰まっていると思います!ぜひご一読ください。
コンクリートの劣化と一口に言っても、下の写真のように様々な種類があります。
このようなコンクリートの劣化は、発生する原因も様々です。
紫外線や雨水といった外部からの刺激、どのような環境に何年建っているかなど、いくつもの要因が重なった結果、このような劣化現象が発生してしまうのです。
コンクリート構造物は、木造や鉄骨造と比べると耐用年数(建物の寿命)が長いと言われています。しかし、補修工事をせずに劣化も放置すると、室内への雨漏り・剥落による事故など、大きな被害が発生してしまう恐れがあります。
万が一のことを考え、数十年に一度のタイミングでコンクリートの建物の劣化状況の診断・調査を専門業者に依頼することをおすすめします。
今あるコンクリート構造物(マンション・ビル・橋・高速道路など)の多くは、1960年代前後の高度経済成長期に建設されたものです。
それに対し、コンクリート構造物の耐用年数は50年前後とされています。
つまり、今あるコンクリート構造物の多くは既に耐用年数を超えており、補修工事や塗装工事などのメンテナンスが必要な状態なのです。
山陽工業はそんな思いから、コンクリートの補修に関する様々な新しい技術を取り入れています。
例えば、劣化した打ちっぱなしコンクリートに塗装と模様付けを施して美しさを取り戻す美観再生工法や……
コンクリート内部の0.01mmのひび割れまで埋めて補修することができる注入工法など。
建設会社としてコンクリートを「直す」ことに特化した工事方法や調査方法を模索し、これまでに多数のコンクリート構造物を補修してきました。
今現在もいくつかの大学と共同研究を行いながら、工法のさらなるクオリティアップを目指して実験を続けています。
この記事でご紹介するコンクリートのプレミアム補修工事とは、山陽工業がご提供する補修工法や診断方法を組み合わせた、コンクリートのための高品質な補修プランのことです!
具体的には「コンクリートに穴を開けない調査方法」と「特殊樹脂の注入による補修工法」というものをご紹介します。
こちらは大規模修繕中の古いビルです。
劣化が進んでいるため、建物全体の構造を補強をしている最中です。
建物を支える柱は非常に重要な存在であることから、今回お客様にコンクリートのプレミアム補修工事をご提案したところ、OKをいただくことができました!
内装材や下地が剥がれた柱は凹凸が多く、かなり劣化しているように見えます。
コンクリート構造物の劣化診断は多くの場合、コンクリート診断士による目視や打音調査の他に、コンクリート内部に穴を開けてサンプルを抜き出す「コア抜き」と呼ばれる調査方法が主流です。
ただ、躯体に穴をあける行為は、大なり小なりコンクリートに負荷がかかってしまいます。
まだ工事をするかどうか決めていないのに、診断のためとはいえ建物に穴を開けるのはちょっと…と思われるお客様も多いです。
そこで山陽工業では、コンクリートを破壊せずに診断する方法として「トモグラフィ解析」を推奨しています!トモグラフィ解析については、次の項目で詳しくご説明します。
トモグラフィ解析は、コンクリートを破壊せずにコンクリート内部の密度を分析できる解析方法で、主にインフラ系のコンクリート構造物を対象に活用されています。
耐震性を重要視する高速道路や橋・ダムでも、トモグラフィ解析であればインフラを止めずに劣化状況の診断ができる他、工事後も傷を付けずに補修の効果を確認することができます。
ビルやマンションなどの一般的な建物においても、コンクリートを非破壊で診断できることは同じくメリットであるため、活躍の場を広げつつある解析方法です。
手順としてはまず、コンクリート構造物(今回の場合はビルの柱)の表面に印を付けて、格子状に区切っていきます。
描かれた格子の交点にこのようなセンサーを取り付けていきます。
センサーと聞くと何だか繊細に扱わなければならないイメージがありますが…この機器は丈夫なのか、ホットボンドをがっつり付けてペタペタと柱に貼り付けていきます。
コンクリートの柱の上から下まで一定の間隔を空けてセンサーが配置されました。
次に柱の反対側、取り付けたセンサーと相対する位置にあるコンクリート表面を、こちらの小さな鉄球で叩いていきます。
一定のリズムと力加減で柱の表面を叩きます。
とても静かで、淡々とした空間でした……。
叩かれた衝撃がコンクリートの柱の内部を通ってセンサーに伝わり、センサーと繋がったパソコンに波形として表示されます。
波形は、コンクリート構造物内部に伝わる波の速さを計測しているため、
波が速い
→コンクリート内部がしっかり詰まっており正常な状態で、波が直進して伝搬できている(=密である)
波が遅い
→コンクリート内部が浮きなどの劣化によりスカスカになり、波が迂回して伝搬してしまっている(=疎である)
ということになります。
等間隔に配置されたセンサーからそれぞれの波形を取得することで、コンクリートの柱のどのあたりが密でどのあたりが疎なのか判断することができます。
コア抜きより少し作業時間はかかりますが、大きな音も出ず何より構造物に穴をあけないで済むので、劣化したコンクリートにとって非常に優しい解析方法です!
トモグラフィ解析によって柱内部の劣化状態が確認できたら、続いてコンクリート構造物のための特別な補修工法「IPH工法」を施していきます。
IPH工法では、コンクリート内部に樹脂を注入することによって、劣化によって隙間だらけになった構造物もしっかりと補強することができます。
従来の補修方法だと0.01mm以下の隙間に空気が残ってしまい樹脂が入らないことがありますが、IPH工法であればその空気を抜いてコンクリート内部の隙間目一杯に樹脂を詰めることができます。
そのためコンクリート構造物によっては、IPH工法で補修することで耐久性が工事前よりも向上することがあります。
IPH工法は、止水効果はもちろん防錆効果や中性化の抑制にも優れている点から、コンクリート構造物の長寿命化を実現した画期的な補修工法です!
コンクリートを「直す」よりもさらに上、「回復させる」といったイメージと考えていただければ!
IPH工法は、ある一定の面積に対してどれくらいの量の樹脂が注入できるか仕様が定まっているため、まずはコンクリートの柱の表面を等分し、等間隔に印を付けていきます。
今回は事前にトモグラフィ解析を行ったので、コンクリートの柱内部のどの辺りに隙間が多いのか把握できています。隙間が多い箇所には印を少し多めに付けて、樹脂の注入量を増やします。
次に、印を付けた部分に穴をあけていきます。
穿孔と呼ばれるこの作業は、比較的大きな機械音が発生します。時間にしてほんの数十秒ではありますが、一般の方々からすると耳を塞ぎたくなるレベルの音量だと思います。
次に、カプセルを取り付けるための台座を作っていきます。
そうして樹脂を注入するためのカプセルを準備したら、
いよいよコンクリート内部に樹脂を注入していきます!
注入の仕方としては「押すのかな?」と思ったのですが、どうやら回すそうです。後ろの引き金を引っ張ると樹脂が発射されるため、隙間から漏れてこないようカプセルを素早く回転させて台座の穴に固定します。
樹脂がコンクリート内部に浸透するまでの間、カプセルは台座に差し込んだまま固定しておきます。
緑色の容器がずらりと並んでいるのはとても不思議な光景ですね。
こうしてしばらく放置することでコンクリートの柱の内部に樹脂が充填され、固まっていきます。
カプセルは台座の根元からポキッと折ることができるので、樹脂が硬化したのを確認したら撤去します。
このIPH工法は様々な場面で活躍しています。
参考までに、山陽工業のIPH工法の施工事例の一部をご紹介します。
車の通行が激しい橋をIPH工法で補修しました。
IPH工法はコンクリート構造物を壊さず注入するだけなので、通行止めをすることなく橋の補修を行うことができました。
「居住者様のためにも良いものを使って工事したい」とマンションのオーナー様からご相談いただき、IPH工法で外壁を補修しました。
IPH工法は一度の工事費用が高額にはなりますが、コンクリートがしっかりと補強され劣化しにくくなるため、メンテナンス回数を減らすことができる=長い目で見るとメンテナンスコストが安く済むという点から、大変ご満足いただくことができました。
駐車場の天井で繰り返す雨漏りにお悩みとのご相談を受け、IPH工法で補修を行いました。
目に見えないほど小さなコンクリート内部の隙間まで樹脂で満たせるIPH工法により、無事雨漏りを止めることができました。
最後に再びトモグラフィ解析を実施します。
IPH工法の特殊な樹脂を注入してコンクリートの柱を補修しましたが、実際にコンクリートの密度がどのように変化したのか外から見ただけでは分かりません。
そのため、補修後にも再度トモグラフィ解析を行うことで、補修の効果を可視化するのです。
補修前に行ったときと同様に、柱の表面を叩いて波形を観測します。
トモグラフィ解析を専門に扱っているプロの目には、補修前と補修後で各センサーの波形がどのように変化し、コンクリートの密度の何が変わっているのかが分かるとのことです。
下の図を見比べてみると、補修前と補修後でコンクリートの柱がどのように変化したのかが一目瞭然です!
この図はトモグラフィ解析で得た数値を参考に、コンクリートの柱の内部の様子を3次元に図化したものです。
寒色になるほど鉄球で叩いた時の衝撃が伝わる速度が速い=コンクリートが健全であることを示しています。
暖色だった箇所が寒色に染まり、コンクリート内部の密度がアップしていることが分かります!
補修後のトモグラフィ解析が済み、お客様へ結果をご報告したところで工事完了です!
コンクリートのプレミアム補修工事は、長い年月を経て弱ってしまったコンクリート構造物を補修・補強し、蘇らせることができる画期的なプランです!
取り壊さずに補修したいコンクリート構造物がある!という方は、ぜひ山陽工業までお気軽にご相談ください!
なお、対応エリアは以下の通りです。
今回ご紹介したトモグラフィ解析やIPH工法に関しては、こちらのページでさらに詳しくご紹介しています。
【トモグラフィ解析】
【IPH工法】
この記事を書いた人 山陽工業 よーこちゃん
・山陽工業に入社して3年目の広報社員。
・たくさんの現場を巡って、日々様々な知識と写真を集めています。
・施工管理に長けた工事監督さん、この道何十年の熟練職人さんの方々に取材を行い、建物の修繕・改修に関する情報を発信していきます。
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