建物の屋上はご存知の通り、ビルなどの最上で人が出られるようにしてある平らな場所です。ベンチを置いて気分転換の場所にするなど様々な活用法がある屋上ですが、屋根はついていないため、建物の中でも特に日々紫外線や雨水にさらされています。そのため劣化の進行が早いかもしれません。
また、普段屋上を開放していない建物の場合は、屋上の劣化状態を目にする機会はほとんど無いのではないでしょうか?
久しぶりに見たら「思ってたより劣化してる…」なんてことも珍しくありません
紫外線や雨水が原因で劣化した屋上を放置すると、建物全体の劣化に繋がる恐れがあり、大変危険です。
大切な建物を守るために、一度屋上の劣化や修繕について考えてみませんか?
この記事では新築の屋上に施されている、シンダーコンクリートの劣化に伴う危険性や、劣化の種類について詳しくご紹介します。屋上のある建物の防水に関してお困りの方、必見です!
まず初めに、シンダーコンクリートとは何かご説明します。
シンダーコンクリートは「軽量コンクリート」(記事内ではシンダーコンクリートと表記)とも呼ばれており、屋上のアスファルト防水層を熱や衝撃から保護する目的で、アスファルト防水層の上に打設するコンクリートです。
新築(防水工事を行っていない)の建物の屋上に施されています。
軽量である理由としては、建物の上に通常使用されている重量感のあるコンクリートを打設するのは、建物にとって良くないためです。出来るだけ軽い材料である石炭の燃え殻を骨材とした、軽いコンクリートを打設します。
強度はありませんが、屋上を保護するのに最適と言われています。
また断熱性にも優れており、熱伝導率は普通のコンクリートの約1/2とされています。断熱性が高く冷暖房費の節約につながります。
屋上のシンダーコンクリートが劣化すると、下にあるアスファルト防水層も劣化してしまいます。防水加工本来の止水性や防水性が十分に発揮できなくなり、建物へ水が浸入しやすくなります。
水が浸入することで雨漏りが発生し建物内が水浸しになってしまったり、天井が抜けてしまうケースも。建物自体の耐久性が低下してしまいます。
鉄筋コンクリート構造物の場合は鉄筋の劣化も始まり、屋上のみの防水工事では防ぎきれないことになってしまいます。
でも、どんな劣化が危険なのか分からない…
劣化には様々な種類があり、知識のない一般の方が「危険な劣化」を判断するのはとても難しいですよね。だからといって漏水が発生してから工事を依頼するのは、手遅れになる可能性がとても高いです。
この項目ではセルフチェックができるように、代表的な劣化の種類をご紹介します。
最初の劣化状況はひび割れ(クラック)です。
ひび割れは太く大きく目立つものから、髪の毛のように細く小さなひび割れも存在します。細いひび割れには幅0.3mm以下のものもあり、一見放って置いても問題ないように思われがちです。
しかし、どんな小さなひび割れでも放置するとだんだんと大きくなってしまい、そこから水分が浸透しやすくなります。水分が浸透することでコンクリートがさらに伸縮し、漏水が発生してしまいます。
ひび割れはコンクリートの劣化の中でもかなり多い原因です。
コンクリートの浮き・剥がれも、危険な劣化状況の一種です。
コンクリート内部でひび割れが連続で発生したり、周辺の振動の影響によってコンクリートの表面部分と内部の一体性が失われることによって起こる現象です。
次に排水口まわりの劣化です。
漏水の原因はコンクリートの劣化だけではありません。排水口のように水が集まる箇所が劣化していると、漏水の原因になります。排水口の経年劣化や周囲の振動によるひび割れ、錆により穴があいてしまうことがあります。排水ホースも同様に老朽化してしまうので、あわせて確認が必要です。
屋上を見てみると、このように雑草やコケが生えていることがあります。排水中には様々な養分が含まれており、風で飛んできたり、鳥や虫が運んできた種子が成長していき、雑草が育ってしまうのです。コケは水分がある環境に繁殖するため、雨水にさらされている屋上はコケがとても繁殖しやすい環境であることが分かりますね。
植物の根は非常に強いものであり、放置しておくと防水層まで達し破断させることもあります。防水層が破断すると漏水や雨漏りの原因になってしまいます。
シンダーコンクリートは通常の防水よりも雑草が生えやすいため、特に注意が必要です。
シンダーコンクリートには、硬いプラスチック製の伸縮目地が設けられており、建物の振動を吸収し、ひび割れを防ぐという大切な役割があります。しかし、時間が経過すると写真のように浮きが発生し、伸縮目地としての役割を果たせなくなってしまいます。
このような状態になると、隙間から水が浸入し雨漏りの原因に繋がります。
上記のような劣化を見つけた場合、大切な建物を守るためにも早めの修繕が必要になります。また「実際に見たけど、よく分からない」「危険な劣化なのか判断できない」という場合にも、是非お問い合わせください。
山陽工業にはコンクリートに関する知識が豊富な、コンクリート診断士の資格保有者が在籍しており、さらに建物調査メニューも充実しております。
劣化の危険レベルを細かく判断し、適切な施工方法をご提案させていただきます!
シンダーコンクリートが劣化した場合は「ウレタン防水工事」で施工を行うことがほとんどです。
ウレタンとはプラスチックの一種であり、ウレタン結合と呼ばれる化学反応によって生成される樹脂のことを指しています。
この「生成されたウレタン樹脂」を施工箇所に複数回塗ることで防水層を形成し、漏水を防ぐことを目的とした防水工事です。
防水工事の中で最も一般的な工法なので施工できる職人が多く、工事費用が安く抑えられるかもしれないというメリットがあります。
こちらはシンダーコンクリートの劣化が原因でご依頼をいただいた現場です。ウレタン防水で施工を行った際の施工方法をご紹介いたします。
こちらは施工前の様子です。
まず初めに既存の目地材を撤去し、ケレン作業を行います。
ケレン作業とは塗装をする前に汚れや錆を落とす作業のことを言い、塗料の密着度を高めるための作業としてとても重要な作業です。
目地の撤去を行わずに施工を進める建設会社さんもいるみたいですが、そのまま残すと目地が漏水の原因になってしまう可能性もあります!目地の撤去は行うべき工程です。
次に樹脂モルタルを塗布します。
樹脂モルタルは、接着力や曲げ強度に優れており、中性化の抑制や防錆などの効果も期待できます。乾燥が早く軽量であること、そして弾力性を発揮してひび割れを防ぐことなど、補修材としての適性に優れています。
シール材の上に樹脂モルタルを塗布すると仕上がりの品質が悪くなってしまうので、樹脂モルタルを塗布した後に目地のシール材を充填します!
次にプライマーを塗布します。
プライマーを塗布することで、次に塗るウレタン塗料との密着度が高まります。また、防水層の長持ちに繋がります。
プライマーを塗り終えた後は、目地部分にシール材を充填します。
目地部分にシール材を充填する事で、雨や外側からの水の浸入を防いでくれます。
(1)ケレンで劣化した目地を撤去したので、新しく目地部分にシール材を充填します!
次にプライマーの上から通気緩衝シートを敷きます。通気緩衝シートは下地に含まれる水分による防水層の膨れを、防ぐ働きをしてくれます。
通気緩衝シートを敷いたら、通気緩衝シートの境目を繋げるために、ジョイントテープを貼ります。
続いてウレタン塗料を塗布します。
1層目を塗り終えたら乾燥させ、重ねて2層目も塗布します。塗り重ねることで防水層を形成し、建物への水の浸入を防ぎます。
最後にトップコートを塗布します。
トップコートは防水層をホコリや紫外線から守る役割があるため、防水層を長持ちさせるために重要な工程です。
シンダーコンクリートの劣化が原因でウレタン防水工事を行った際のBefore&Afterを比べて見ましょう。
シンダーコンクリートの上からウレタン防水を施工しました!見た目の変化も大きいですが、シンダーコンクリートをウレタン防水層で保護したため、屋上劣化に関してはひとまず安心ですね。
この記事でご紹介したシンダーコンクリートは、強度があるコンクリートではなく「保護するため」のコンクリートです。
屋上防水層の劣化は建物全体に大きな害を及ぼしてしまいます。「少ししかひび割れしてないし、まだ漏水も起きてないから大丈夫!」なんてことはありません。
少しの劣化でも、紫外線や雨水に触れることでどんどん拡がり、漏水が発生します。
山陽工業は防水・塗装工事に特化した建設会社です。
「この程度の劣化でも依頼していいのかな…?」となかなか問合せに踏み込めないお客様も、小さなお悩みでも構いませんのでまずはご連絡ください。
お客様の大切な建物を、山陽工業がお守りいたします!
なお、対応エリアは以下の通りです。
この記事を書いた人 山陽工業 まお
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