これらはどれも、目に見えた時にはすでに進行しているケースが少なくありません。
特にマンションやビルといった集合住宅では、劣化の進行が資産価値の低下や修繕コストの増大に直結します。
こうした劣化に対して、より効果的な技術や材料はないのか。
お客様に自信をもって提案できる選択肢を増やすことはできないのか。
山陽工業ではこれらの課題に対し、実環境でのデータを重視しています。
そのため、建物にとって極めて過酷な環境にある
世界文化遺産に登録され長崎を代表する観光地となった軍艦島ですが、山陽工業が注目したいのは構造物としての廃墟にあります。
軍艦島は、海に囲まれた特殊な環境にあります。
常に潮風や雨に晒され、台風の影響も受けやすいため、建物にとっては非常に厳しい条件が揃っています。

このような環境では、本土では長い年月をかけて進行する劣化現象が、より短期間で顕在化します。

山陽工業ではこの特性に着目し、新しい工法や材料の耐久性を検証しています。
本来であれば長期間を要する評価を短期間で行うことで
山陽工業が軍艦島で研究しているのは
の2つです。
軍艦島に試験体を設置し、経過観察のため年2回、島へ上陸しています。
通常廃墟の内部に入ることはできませんが、特別な許可を得て探索時の注意点を聞いた上で、建物内部の調査も行っています。
今回の記事では、普段は見ることのできない現地での研究の様子をレポートとしてお届けします。

全てのコンクリート試験体には
コンクリートの主な劣化原因は
海水や雨水にさらされることで時間の経過とともに試験体は少しずつ劣化していきます。
やがて外部から浸入してきた水によって内部の鉄筋が
結果、コンクリートの表面に錆汁が滲む・垂れるといった現象が起きるようになります。
この現象はコンクリート表面の塗料が
また、錆汁の量や目立ち方を見ることで、劣化の進行度をある程度判断することが可能です。
錆汁が多いほど鉄筋の腐食が進んでおり、それだけ内部に水が浸入していると考えられます。
山陽工業が設置したコンクリート試験体はどうなっているでしょうか。



このように、試験体ごとに異なる劣化挙動が確認されました。
さらに、水分量や塩分量、光沢などについても定量的なデータを取得し、継続的に経過観察を行っています。

建物の修繕工事において、鉄部塗装は欠かせない工程の一つです。
鉄部は建物や構造物のさまざまな箇所に使用されており、
しかし、鉄部塗装は外壁塗装と比較して耐久性が低く、
経年劣化により、チョーキング(塗料の成分が粉状になる現象)や変色・退色が発生しますが、特に注意すべきなのが
錆が進行すると、美観を損なうだけでなく、鉄部そのものの強度が低下し、破損や安全性の低下につながる可能性があります。

鉄の性質上、
そのため、
こうした課題に対してより耐久性の高い塗料の選定と提案を行うため、コンクリートと同様に実環境下での経過観察を行っています。
種類・組み合わせ・塗り回数の異なる試験体(鉄板)を用意し、それらを隣り合わせに並べ、年数をかけて経過観察を行います。
また、今回新たに設置した試験体とは別に、数年前から経過観察を行っている鉄板についても状態を確認します。

まずは、専用の計測器を用いて各試験体の照度や輝度を測定し、数値データを取得します。
これらのデータは、塗装の耐久性を確かめるための指標です。定期的に記録することで
次に、目視による状態確認を行います。
設置から約3年が経過した試験体は全体的に良好な状態を保っていますが、
このようなケースについても、直ちに回収するのではなく、劣化がどのような速度で進行し、どのように広がっていくのかを継続して観察します。
軍艦島で得られたデータや知見は社内で共有し、お客様への提案内容に反映しています。

大規模修繕工事から立体駐車場の塗装、コンクリートの美観を復活させる工事など、幅広いにニーズにお応えしています。
こうした日々の施工に、研究で得られた知見を還元することで、建物の長寿命化と資産価値の維持に貢献しています。


この記事を書いた人 山陽工業 よーこちゃん
・山陽工業に入社して2年目の広報社員。
・たくさんの現場を巡って、日々様々な知識と写真を集めています。
・施工管理に長けた工事監督さん、この道何十年の熟練職人さんの方々に取材を行い、建物の修繕・改修に関する情報を発信していきます。





















